環境 

 福島市郊外、吾妻山麓に位置し、土湯温泉街に近く、沼を巡る遊歩道も整備されていることもあり、県内外を問わず多くの観光客が訪れるところである。沼周辺はミズナラ、カエデ、ダケカンバなどの落葉広葉樹とスギ、アカマツなどの針葉樹からなる混交林である。また湿地帯にはミズバショウ、サワギキョウ、ミツガシワなどが咲き、遊歩道周辺にはカタクリの群生も見られる。林、沼、湿地と環境に富み、野鳥の生息数も多く、冬を除けばいつ訪れても野鳥観察が楽しめる。

 

交通

 JR福島駅より福島交通バス、土湯温泉行き終点で下車。男沼・仁田沼駐車場まで徒歩約30分。

 

季節

 土湯温泉街から車道を登ると、ほどなく駐車場に着く。この駐車場を起点として探鳥することになる。先ず、駐車場入口の案内板脇の遊歩道を入り、しばらく進むと道は二手に分かれる。左の道は男沼へ、右は仁田沼へと続く。この道は、いずれも降雨後には悪路になるので足ごしらえは充分にしたい。この辺りから、初夏であればキビタキの朗らかなさえずり、キツツキ類のドラミングが耳に届くはずである。また、ヒガラやシジュウカラなどのカラ類も多く、鳴き声を聞き分けながら歩くのも楽しい。道を左にとると、およそ30分で男沼に到着する。この沼はフナやハヤの魚影が濃く釣を楽しむ人もいる。沼周辺の林からはアオジ、ノジコ、オオルリのさえずりが聞かれ、沼では愛らしいカイツブリの親子に出会える。
 男沼から道を北へ進むと仁田沼に着く。近年仁田沼はミズバショウの群生地として脚光を浴びており、ミズバショウの花が咲くシーズンには多くの観光客が訪れるようになった。ここではキビタキ、コルリ、センダイムシクイなどの夏鳥の他に、ミソサザイやゴジュウカラなども観察できる。また、湿地には幾本もの立ち枯れ木があり、アカゲラやコゲラの巣穴も発見できるかもしれない。オオアカゲラの繁殖例もあるので注意したい。
 女沼は男沼や仁田沼に比べると、割合開けたところで明るい感じの沼である。付近にはつつじ山展望台があり、ツツジの花の咲く頃の眺めはまた格別である。ここではオオルリ、ウグイス、ノジコやカラ類が見られ、またコースぞいに進むと「思いの滝」が目に入る。この辺りではカワガラス、ミソサザイ、キセキレイの出迎えを受けるだろう。
 春のミズバショウ、初夏の新緑、秋の紅葉、それらの山の彩りが見事に沼に映し出され、野鳥観察以外でも四季折々訪れてみたい場所である。